浮舟短歌

真夜中にいつくしむ雨われを抱く

落下する爆弾つらし溢れ梅ひとのいのちぞ軽く散るらむ

落下する爆弾つらし溢れ梅ひとのいのちぞ軽く散るらむ

 

どうして人の命はこんなにも軽く、溢れ梅のように散ってしまうのか。

世界で起こっている戦争に心を痛めています。短歌を久しぶりに詠みました。落下と落花を掛けています。

虐殺をやめろ、戦争をやめろ、民族浄化をやめろ、

絶望した世界で、梅の花がこぼれて散っていくのが美しいことも同じように今ここにあって、なんだか打ちのめされています。どうして辛いことばかりなのに美しいものが目に入るんだろう。

 

梅の花言葉には「忍耐」があります。

最近ガザ難民女性が作る刺繍ポーチに先行投資を行いました。何年でも届くのを待ちます。

耐え忍んだ先に春が待っていると信じてます。

慈雨

 

 

 

 

 

 

パニック障害の話

「これが自分の人生なのか?」

そう気づいたのが2歳。それからずっと臆病で、焦るとすぐにあたふたしてしまってそれを克服したいと思ってた。強くなりたいと思ってた。だから本をたくさん読んだ。一番つらい部活に入った。海外にもたくさん学会で行って不慣れな場に自分を置いた。理不尽な体育会系の部活もやったし、研究にひたすら打ち込んだりもした。長時間労働の辛い会社にも入った。バイトでも色んな仕事をやった。難しい免許も取った。人前に立って授業をした。

これが、決定的に私を追い詰めた。焦ってしまってもう頭が真っ白。スカイツリーのてっぺんで命綱なしで強風に吹かれてるみたいだった。適応障害からうつ病になった。電車に乗れなくなって、1人では店に入らなくなって、とうとう外に出られなくなった。

パニック発作は不安から来るパニック障害になった。私の中にはずっとあったものが表面化しただけだと思った。彫刻家から見たら冷たくて大きな岩からとっくにその像が見えているみたいに。

いつかうつ病になることも、小学六年生のあたりでなんとなく予感していた。このままのやり方じゃいつか壊れると。でもそれがいつかは分からなかった。親は何度も諭してきた。でも普段家にいないし全然私の話を聞いてくれないのにそんなことを言われても困った。誰にもセクシャリティのことも話せなかったし、家の中はぐちゃぐちゃでそれどころではなかった。

 

でもある日うつ病になったら本が読めなくなった。あんなに英語の論文を読んでたのに、目が滑って読めなくてびっくりした。もう本当はずっと限界だったのは分かりきっていたので絶望することもなく諦めた。

 

内面に抱えていたものが表面化しただけで、今の私は小さい頃から何も変わっていない。色んな情報を選び取り、手段や策を打てるようになっただけで何ひとつ解決していない。病気になって良かったとか、これで立ち直れたとか周りの人はすぐそういう感動を求めたがるが私はWikipediaでもなければネッフリのコンテンツでもない。

 

今年の2月になんとか一般就労に食らいついて拾ってもらって働いて、死なないためにお金を使う。支払うまでは生きてなくちゃと思う。好きな絵が家に来るのを待っている時間がとても好きだ。配達日までは未来を生きてる感じがする。約束があると思うと、死なないようにしようと思う。だから楽しいことは遅れれば遅れるほどいい。

 

毎日差別と戦争のことばかり考えていて、苦しいのだ。パニック障害は治らないしうつ病希死念慮と不安がまとわりついて離れない。苦しいと体だって動かない。

 

抗不安薬を何錠飲んでも、今日は途中で帰らなかった。障害や病気を理由に甘えていると思われたくない。でも職場の人たちは無理しないでって言ってくるのでそれがまた情けなくて涙が出るほど悔しい。以前できたことができなくなった自分をまだ受容できないでいる。

 

それでも毎朝心の中でファイティングポーズだけは取り続けている。

 

 

コップから溢れた水で生く人魚つついて飽きたわたし出てゆく

コップから溢れた水で生く人魚つついて飽きたわたし出てゆく

 

 

 

カイシャでどこまでを言っていいのかやっていいのかわからない。カイシャでの人との距離感を図りかねる。「自分の家の前だけ掃除すると自己中と言われる。人の家の前まで掃除するとその人が何もしてないと思われる。だから道の間まで少し掃除するくらいがちょうどいい。」って立川談志が言ってたらしい。それが頭でわかってても実際事が起きるとわからない。ので、他の人にもういいよいいよと指摘されると謎に落ち込む。でしゃばるなよって言われてるみたいで。みんな長く働いている人ばかりで、自分よりも全員年齢高いしコミュニティが出来上がってるのであーあーめんどくさい。笑いのツボも全然合わなくて、病む。遅刻も欠勤もしまくってるからそりゃ厄介者扱いされるよなー。パニック障害うつ病のせいにしたくないけど、どうにもならん時はどうにもならん……。みんな子持ちだし。無理して合わせる必要もないよな。今週の目標、「死なない」です。

 

 

 

体調の悪いところを練りかため小さきわれを盥に浸す

体調の悪いところを練りかため小さきわれを盥に浸す

 

土曜日からおなか下しが続いてて物を食べると1時間くらいお手洗いに籠城しちゃって。痔は悪化するし眠れないから仕事も休んで。でも涼しくて暗い部屋で一日中何もせんで寝てたら良くなってきました。スライムでした。溶けてました。

 

 

いっしょには逝ってくれないひとが好き手折れば倒る立葵とて

いっしょには逝ってくれないひとが好き手折れば倒る立葵とて

 

立葵は水を吸い上げる力が弱いから生花には向きません。茎を焼けば少し保つかもしれませんが、あんなにもたくさんの花を咲かせても切ってしまえばすぐ枯れてしまう。そんな立葵のようなかよわい人間だとしても、自分とは正反対の健康で元気な子が好きだという幸村精市のために詠んだ歌です。

テニスの王子様ギュッとドキドキサバイバル。

幸村精市を落とせなかったために生まれた短歌でした。ガーデニング好きなら立葵花言葉も分かるはず。幸村精市の見た全国大会での夏の立葵は眩しかったでしょう。(幻覚)

幸村精市に相応しい花言葉です。

 

次こそは落としてみせる……

 

泡風呂のしゃぼんは苦し働けど心もとなき朝靄の舟

泡風呂のしゃぼんは苦し働けど心もとなき朝靄の舟

 

 

朝靄の中で泡風呂に浸かっていて、その泡が口に入ってきて苦いと感じるような気持ちで働いています。

 

善意から気遣ってくれるほど逃げ場がなくなってしまうのです。

 

なぜ高齢者のバリバリ働いている女性ほど名誉男性ムーブになってしまうのか分からないです。お茶!と言ったり荷物を持たせたり。

 

金があれば大きな声で物を言えるのか、苦労してきたと大声で語れる人に若い人の死にたさは伝わるのか、仕事バリバリ働いて金もある健康な高齢者に何を言っても伝わらないような気がしつつも、今日もお金を稼ぐために家を出てゆくのでした。

そんなに健常者って偉いのかしらん。

 

 

 

 

 

月蝕を仰ぎ見ゆ声溢るなば閉ぢた心もひかり漏れなむ

月蝕を仰ぎ見ゆ声溢るなば閉ぢた心もひかり漏れなむ

 

(月蝕を見上げた人たちの声があふれたならば閉じた心にも光が漏れることでしょう。)

 

月蝕良かったなー

耳鳴りは蝉時雨なり蘇れ海開きから帰りし瞼

耳鳴りは蝉時雨なり蘇れ海開きから帰りし瞼

 

海から帰ると瞼の裏で波が立っては崩れ、立っては崩れを繰り返すのはどうしてなんだろう。

 

夏の思い出は今はもういない祖父の家でアルミの風呂桶に浸かり、風呂上がりには果物を用意して海から帰った私をもてなしてくれたこと。それから畳の上で夕方まで寝たこと。

 

もう秋になってしまった。

 

 

どうやってどこを歩いてきたのかも知らぬくせしてわれを嗤ふな

どうやってどこを歩いてきたのかも知らぬくせしてわれを嗤ふな

同僚を友人だと思っていたけど、ずっと陰で私の悪口を上司に言っていたことを知った。悲しいな。


心臓に柄まで通す声太く「ありふれている」われと同じく

心臓に柄まで通す声太く「ありふれている」われと同じく

自殺なぞ勝手にさせぬ刃生(じんせい)に寄り添ってくれわがあるじなら



薬研藤四郎で二首。薬研はドロップ率がすごく高くて、でも守刀としての力は本当にあって…………とうらぶで詠めたの嬉しいです。