浮舟短歌

真夜中にいつくしむ雨われを抱く

隕石が落ちてくるのをオフィスから眺めている午後迎えが来たの(過去作供養)

三日月をグラスの海に沈めては寄せては返す孤独なビーチ #短歌 #tanka

突き抜ける空の青さが恐ろしくカーテン越しに見る金木犀 #tanka #短歌

彼岸から往きて帰らぬ朝顔の腕這う無数のうつろぶね見ゆ #短歌 #tanka #怪談

この世界最後に降る雨いつくしむ暗闇の中泳ぎゆく蛇 #短歌 #tanka

夜明け前波打ち際に揃えられしビーチサンダル二足の激情 #短歌 

夜明け前抗不安薬飲んだあと起こさぬように(蛹に戻る)

自由とは目の上の瘤この星で口に張り付けられた十字架

暗闇でストロングゼロ飲み干せば冷蔵庫眩しき深夜の蛍

しろたえの布団の繭の中だけはどうか守ってくれ蛹

携帯は祈りを捧ぐ石版で長々し夜を遡上せよ姫

早蕨の丸まる新芽はわがこころ実家の野菜をすぐ腐らせる

気遣いと気違いはほぼ同じ字で顔色を伺ってばかりのわれ情けなし

カーテンの漏れる西日の揺らめきを御簾ごしに見た遠き思ひで

死後ぼくは月の化石に戻るからそっと抱きしめて崩れぬやうに